外遊びでも室内遊びでも、2歳児と3歳児との違いがはっきりしてきました。
3歳児は室内に用意した既成の遊具で遊ぶだけでは物足りなくなってきました。
そこで、工作の材料を用意し、場を設けました。具体的には、空き箱(3歳児の扱いやすい小さめサイズ)、梱包に使われていた薄い紙、お花紙、折り紙を4等分したもの、ゼリーやプリンの空き容器、そして、セロテープ。
保育者が用意したもので子どもがどんなことをするのか、ある程度の見通しを保育者はもっています。どんな指導が必要になってくるかも理解しています。が、しかし、保育者がイメージしたことを子どもがしなくてはならないわけではありません。今の子どもたちならこんな風に使って遊ぶだろう、こんな経験をして欲しいという子どもの理解に基づいた予想や願いはもっていますが、使って遊ぶのは子どもたちなのです。ですから保育者の思ってもみなかったことを子どもたちが始めたとしても、それを受け止め、理解して、その時に必要な関わり、指導をします。
それでは、子どもは保育者が今回新しく用意したもの、設定した場でどんなことをして遊び出したでしょう、ご紹介します。
空き箱をセロテープで貼って長くつなげた「イモムシ」。電車の好きな子どもが作ったのでてっきり電車だろうと思ったのですが違っていました。
上の写真のイモムシに影響されたのか、こちらは別の子どものアオムシ。「おなかすいてるの。ごはんみつけるの。」と言ってうろうろと歩きまわっていました。そこで、保育者が赤いお花紙を丸めて作ったものを「イチゴです。」と差し出すと食べるまね。そばにいた友達が白い紙を「これはダイコン。」と言うとまたそれを食べるまね。「まだおなかすいてる。」と言って歩きまわります。
「はらぺこあおむし」のイメージのようですね。
これは小さく切っておいた折り紙で作ったイモムシ。チョウになるのだそうです。庭のプランターにチョウの幼虫が10匹もいて、毎日見ていることが遊びに影響しているのかもしれません。緑色の折り紙を「葉っぱはいかがですか。」と置いてやると食べるまねをしていました。
3歳児の今頃の遊びの様子としては、かなり充実していると言えます。 用意されたものに自分からかかわって、新たなものを生み出す。このことだけでも十分だと言えます。それが、さらにそれを自分の知っているものに見立てて、イメージ豊かにその気になって表現して遊ぶ。そのような点で遊びの中の経験が豊かなのです。
セロテープの使い方は一人一人の様子を見ながらそれぞれに必要なことを教えています。無駄な使い方をしていることが少なくありませんが、今はそこは大目に見ます。貼りつける、くっつけることが第一なので無駄なく使うことを教えるのは、まだ先です。セロテープ台の刃で手指を傷つける等ちょっとした失敗をしながら使い方が上手になっていっています。箱の大きさや形は均一ではないので、凹凸があって貼りにくいこともあるのですが、器用に貼ったり、不器用でも何度も重ねて貼りつけたりしています。
決まったものを作らなくてはならない制約はありませんから、電車を作った子どももいますし、誕生会の支度をしていた子どもはプリンを作りました。
テーブルの上からはみ出してしまうので、畳の上に下ろして作業を始めたようです。自分で作業のしやすいようにふるまっています。
カップの中に薄紙を詰め込んで作ったプリン。今、子どもは自分で自由に材料や道具を扱うことが楽しく、何かができたことを喜んでいるのです。
数日かけてケーキも作りました。
3歳児なりに作ったパーティー会場 ケーキやジュース、皿、座席があります。
一人一人の思い(これを使ってみたい、これとこれをくっつけたい、ここにテープをはりたい等など…)が結果として形になる。そんな工作を楽しみ、作ったもので遊ぶことを楽しんでいるのが、今のどんぐりころころの3歳児です。